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  • 株式会社朗文堂

  • サラマ・プレス倶楽部

  • 活版印刷とは

    活版印刷は凸版印刷の一種で、組み合わせが可能な文字活字(可動活字)を主要な印刷版とする印刷方法が、「活字版印刷術 Typographic Printhing」、略称「活版印刷」です。活版印刷は、十五世紀半ばのヨーロッパで大成されたのち、さまざまな国を経由して幕末から明治の最初期に招来され、わが国でも情報伝達技術の主役の座をいち早く獲得して、「カッパン」と呼ばれて親しまれてきました。

    しかし、長い歴史をもった活字版印刷術は、技術革新と効率化の波にのみ込まれて、ここ30年間ほど、緩やかな衰退の道をたどってきました。金属活字を主要な印刷版とした文字組版は、1970年〜80年代の間に、写真植字法による版下製作にかわり、印刷方式も凸版印刷からオフセット平版印刷に主役の座を譲りました。そして電子技術がもたらしたIT革命が、さらに大きな変革をもたらしています。
    そのようなデジタル全盛の時代だからこそ、アナログ印刷方法である活版印刷が今再び注目されています。

    下記で活版印刷における作業の流れを簡単にご紹介します。

  • 活 字

    活字版印刷術に用いられる文字の型です。角柱の頭頂部に、左向き(逆向き文字、鏡文字)の文字や記号を突起させたもので、組み合わせて使うため「可動活字 movabletype」とも呼ばれます。活字の大きさは明治初期に導入され、わが国特有の「号数」から数値管理に適した「ポイント制」へと移行しました。その他に欧文活字の幅の大きさを表す「エムem/全角」と「エヌen/半角」があります。

  • 文 選

    原稿にしたがって活字ケースから活字を選び採り、文選箱に詰める作業です。活字をケースから取り出すことを「活字を拾う」と表現することから、「採字・拾い」とも呼ばれます。漢字の字種はとても多いので、組版作業の能率を高めるために、文選と植字を分業としたもので、漢字圏特有の作業です。

  • 組 版(植字)

    活字・込め物・罫線・凸版などを組み合わせて組版をつくる作業です。文字原稿に従って文選箱に文選した活字を、指定原稿に従ってステッキ上で、句読点・込め物・ルビ(ふり仮名)などと組み合わせて、一定の組幅に納まるように版を形づくります。ステッキ上の組版がいっぱいになったら、版をステッキからゲラ(ゲラとは活字組版を入れる浅い盆状の箱。)の上に随時移動させてまとめます。

  • 組みつけ

    活字組版そのほか凸版の版面を、チェースあるいは印刷機の版盤または版胴に固定することです。ページ物印刷においては特に重要視され、印刷後に折り畳んだ時のページ順・余白・印刷位置、クワエシロなどを考慮して版面を配置します。また、多色刷りの場合にも刷り重ねが正確に合うように、版面の組みつけ位置を微調整します。印刷に入るまでに必要な作業はここまでです。

  • かけ足で活版印刷についてご紹介しましたが、ご覧頂いたように、実際に印刷に入るまでにかなりの手間と時間とがかかっていることがおわかりになると思います。しかしその分、現在主流のオフセット印刷などでは出せない独自の風合いが生まれ、それが活版印刷の魅力だと思います。弊社も活版印刷に携わることによって少しでも多くの方に活版印刷の良さを知って頂きたいと考えております。

    <参考文献> アダナ・プレス倶楽部 大石 薫(2010年)『VIVA!!活版♥』 朗文堂.

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